強みを言葉にできないとき|選ばれる理由の前にある「選んできた理由」

ブランディング戦略

こんにちは。
ブランディングディレクター/事業構造パートナーの松本カヅキです。

事業や仕事について話していると、
ふと答えにくくなる問いがあります。

「強みは何ですか」と聞かれて、すぐに答えられない。
「選ばれる理由を言葉にするとしたら?」と聞かれて、少し言葉が止まる。
「自分たちらしさは何ですか?」と聞かれると、急に難しく感じる。

これは、珍しいことではありません。
むしろ、ここまで続けてきたからこそ、
一言で説明しようとすると難しくなることがあります。

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強みを聞かれて、すぐに答えられないことがある

強みは大切です。
選ばれる理由も、もちろん大切です。

ただ、そうした言葉をそのまま求められても、
すぐにはまとまらないことがあります。

それは、これまで積み重ねてきたものが、
一言では収まりきらないからです。

扱ってきた商品。
続けてきたサービス。
大切にしてきた相手。
引き受けてきた仕事。
そして、あえて手を出さなかった領域。

そうしたものが少しずつ積み重なって、
今の事業や仕事の形ができています。

だからこそ、
あとから「強みは何ですか」と聞かれると、
言葉にしにくくなることがあります。

中小企業や個人事業主ほど、強みを言葉にしにくいことがある

最初から、きれいな言葉があったとは限りません。

中小企業や個人事業主の場合、
強みや選ばれる理由が最初から言葉になっていたというより、
日々の判断の積み重ねの中で、
事業や仕事の形ができていることが多いものです。

目の前のお客様や取引先の声に応え、
その時々で必要な判断を重ねてきた。
そうやって長く続けてきたからこそ、
一言で説明しようとすると難しくなることがあります。

その時々で、
「これはいい」と思った。
「これは続けたい」と感じた。
「これは、この仕事らしい」と思った。

逆に、
「これは少し違う」と感じた。
「これは広げない方がいい」と思った。
「これは自分たちのやり方と合わない」と感じた。

そうした判断が積み重なって、
今の形ができていることがあります。

でも、その判断は日々の中に溶け込んでいるので、
あとから「強み」や「選ばれる理由」として聞かれると、
急に言葉になりにくい。

整理が足りないというより、
積み重ねてきたものがあるからこそ、
どこから言葉にすればいいのかが見えにくくなっている。
そう考えた方が自然なことがあります。

「選ばれる理由」を探す前に、「選んできた理由」をたどってみる

「選ばれる理由」を考えようとすると、
どうしても外に向けた言葉を先に探したくなります。

どう見せるか。
どう伝えるか。
どう差別化するか。

もちろん、それも大切です。

けれど、その前に、
一度見直してもよいことがあります。

・これまで、何を選んできたのか。
・なぜ、それを選んできたのか。
・何に手応えを感じ、何に違和感を持ってきたのか。
・そして、何を選ばなかったのか。

選んだものの中には、
大切にしてきた価値が残っています。

でも同じように、
選ばなかったものの中にも、
自分たちらしさの手がかりが残っていることがあります。

・どんな仕事には違和感があったのか。
・どんな進め方は、自分たちのやり方と合わなかったのか。
・何を広げず、何を見せすぎなかったのか。
・何をあえて引き受けなかったのか。

そうした“選ばなかった痕跡”もまた、
判断の輪郭を見つける手がかりになります。

たとえば、外から見ると少しバラバラに見える商品やサービスでも、
選んできた理由をたどっていくと、
どこかに共通する感覚があるかもしれません。

売れそうだから、だけではない。
効率がいいから、だけでもない。

手に取った人に残したい感覚。
大切にしたい関係性。
続けていきたい空気感。

そうしたものをたどっていくと、
その仕事らしい輪郭が、少しずつ見えてくることがあります。

選んできた理由の中に、判断の基準は残っている

個々の選択には、それぞれ事情があります。
そのときの状況も、相手も、条件も違うはずです。

それでも、振り返ってみると、
共通して流れているものが見えてくることがあります。

たとえば、

・どんな相手との関係を大切にしてきたのか
・どんな感覚が残る仕事を選んできたのか
・どんなやり方には違和感があったのか
・何を優先して続けてきたのか
・何をあえて選ばなかったのか

そうした共通項は、
単なる好みではなく、
これまで判断を支えてきた基準かもしれません。

つまり、
選んできた理由をたどると、
判断の基準が見えてくることがあります。

何を選んだかだけでなく、
何を選ばなかったかにも、
その事業らしい基準は残っています。

その基準が見えてくると、
「強みをどう言えばいいのか」
「何を大事にしている仕事なのか」
も、少しずつ言葉になりやすくなっていきます。

強みは、あとから少しずつ言葉になっていく

強みは、最初からきれいな言葉で用意されているとは限りません。

走りながら、選びながら、
積み重ねてきた判断の中から、
あとから少しずつ見えてくるものでもあります。

だから、
「何が強みなのか」と考える前に、
「何を選んできたのか」をたどってみる。

「選ばれる理由」を探す前に、
「何を選び、何を選ばなかったのか」を見てみる。

そうすると、
外に向けて無理につくる言葉ではなく、
これまでの積み重ねの中にあったものが、
少しずつ言葉として見えてくることがあります。

僕は、
こうした“選んできた理由”をたどることも、
整理の入口のひとつだと考えています。

“選んできた理由”を整理したいとき、次に読みたい2つの記事

ここまで読んで、
「考え方としては分かるけれど、自分の事業に当てはめるとまだ整理しきれない」
と感じる方もいるかもしれません。

それは自然なことです。

この「選んできた理由」を、もう少し実務寄りに整理する視点として、
私は“目利き”という考え方を使っています。

これまで何を選び、何を選ばなかったのか。
その奥にある判断の基準をどう言葉にしていくのか。

その整理視点については、こちらの記事で詳しくまとめています。

👉 [中小企業のブランディング実践整理|“目利き”で選んできた基準を言葉にする]

また、
目利きを含めた整理全体の考え方を見たい方は、
こちらで4つの視点をまとめています。

👉 [中小企業のブランディングは整理から始まる|実践につなげる4つの視点]


ブランディングディレクター|事業構造パートナー
松本カヅキ