こんにちは。ブランディングディレクターの松本カヅキです。
ここでいう「ハードとソフト」とは、
ロゴや内装といった表層の話ではありません。
変えにくい前提と、いまから動かせる余地を切り分けるための整理視点です。
事業が止まっているわけではない。
売上も、施策も、一定は回っている。
それでも、
「次に、何か手を打たなきゃいけない気がする」
そう考え始めた瞬間に、判断が重くなることがあります。
新しい施策か。
新しい打ち出しか。
それとも、そもそもの見直しか。
前に進もうとしているはずなのに、
どこから触ればいいのか分からなくなる。
このとき多くの経営者は、無意識のうちに
「全部を変えなければ前に進めないのではないか」
という思考に引っ張られています。
ここで必要なのは、勢いでも決断でもありません。
まず、前提を切り分ける整理です。
「ハードとソフト」を分けて考える、という整理
ハードとソフトの整理とは、
時間が経っても変えにくいものと、
いまからでも動かせるものを切り分ける整理
のことです。
重要なのは、
何を変えるかを決めることではなく、
何を前提として受け取るかを整理すること。
この切り分けができていないと、
判断は一気に重くなります。
ハードとソフトは「物理」の話ではない
ここでいうハードとソフトは、
単に「物理的かどうか」の話ではありません。
ポイントは、変えやすさの質です。
ハードとして考えやすいもの
- 立地や環境
- 建物・設備・機械
- 人員体制や組織の形
これらは、
変えられないわけではありませんが、
動かすには時間と負荷がかかる前提です。
ソフトとして考えやすいもの
- 提供の仕方
- 体験の組み立て方
- パッケージや組み合わせ
- 価格や導線
- 意味づけや伝え方
今の前提を保ったままでも、
調整や再設計ができる余地です。
大切なのは、
ハードとソフトを混ぜて考えないことです。
なお、この整理は店舗に限った話ではありません。
設備を持つ製造業、
プラットフォームに依存するビジネス、
OEM・ライセンス・フランチャイズ型の事業など、
「変えにくい前提」を抱える中小企業ほど、判断を軽くするために有効です。
店舗ビジネスで起きやすい「コンセプトの混同」
この混同が、特に起きやすいのが店舗ビジネスです。
創業期、多くの店舗は
「店のコンセプト」を丁寧につくり込みます。
内装、ロゴ、メニュー、接客。
コンセプトを具現化しながら、必死に走り出す。
これは、立ち上げ期において大きな強みです。
ただ、事業が続き、
次の展開を考え始めたタイミングで、
あるズレが起きやすくなります。
それは、
「店のコンセプト」が、
いつの間にか“事業そのものの前提”になってしまうこと。
本来、分けて考えるべきもの
本来は、ここは分けて考える必要があります。
- 事業としてのコンセプト
(どんな価値を、どんな判断軸で積み重ねていくのか) - それを具現化し、体験として提供する場
(店舗・内装・設備・オペレーション)
事業のコンセプトがあり、
店舗はそれを表現し、届けるための手段にすぎません。
しかし、この2つが混ざってしまうと、
- 店を変えられない
- =事業も変えられない
- =全部を見直さないといけない
という思考に引っ張られ、判断が止まります。
ハードとソフトを分ける、ということ
ここで、
- 店舗という「変えにくい前提(ハード)」
- 提供の仕方や体験という「動かせる余地(ソフト)」
を切り分けて考える。
すると、
- 店はそのままでいい
- 事業のコンセプトも否定しなくていい
- でも、体験の組み立て方は見直せる
という判断が可能になります。
全部を変えなくていい。
まず切り分ければいい。
それだけで、判断は一気に軽くなります。
この整理は、業態を問わず使える
この考え方は、店舗に限った話ではありません。
設備を持つ事業でも、
- 設備やインフラは前提として受け取り
- その上で、どう使い、どう届けるかを考える
同じ整理が使えます。
重要なのは、
どれが正解かを探すことではなく、
どう分類して考えるかです。
整理が進むと、ブランディングは「仕組み」になる
判断の基準が整理されてくると、
ブランディングは
「その都度、立ち止まって考え続ける作業」ではなくなります。
同じ基準で判断が積み重なり、
迷いが減り、
判断の流れが自然につながっていく。
この
同じ基準で判断が続く状態が、
ブランディングが仕組みとして機能している状態です。
その積み重ねが、
相手の中で少しずつ
「選び続ける理由」として残っていきます。
ブランドは、
一度の打ち出しで完成するものではありません。
日々の判断の積み重ねが、
結果として相手の中に形成されていくものです。
次の一手へ|整理から実践へ
整理は、答えを出すための作業ではありません。
次の判断を、軽くするための準備です。
この整理を、
どう戦略や実践につなげていくのか。
全体の流れは、以下の記事で整理しています。
👉判断の整理を、戦略と実践にどう落とすか
中小企業のブランディング戦略|整理から実践へ “仕組みを設計する5ステップ”
また、
いまの状態を一度言葉にして整理したい場合は、
確認の場としてこちらも用意しています。
しくみブランディング®|松本カヅキ
― ブランディングは、整理で仕組みになる。 ―

