【Vol.3】バイヤーに“選ばれる”ための準備とは?|店頭導入前に整えるしくみ

コスメ関連

1. どこから出すかで“ブランドの価値”が決まる?

たとえば、バラエティやコスメショップのバイヤーにこう聞かれたことはありませんか?

「今はどこに展開されていますか?」
「今後、どこで展開予定ですか?」

これ、ただの確認ではありません。

バイヤーはこの質問で、
「このブランドはどんなポジション?」
「どんな育ち方をしてきたのか?」
を見ているのです。

展開するお店の“順番”、
その順番自体が、ブランドストーリーになる

だからこそ、どこに展開するかが、とても重要なんです。


2. 展示会は慎重に!ありがちな“展開順のミス”

商品が完成した!

まずは展示会に出よう!

売り先探しに奔走…「どこでもいいから売りたい!」

──これ、実はすごく危険です。

「最初にどこで売ったか」「誰に売ったか」によって、
そのあと狙いたい販路の反応が変わってしまうケースは本当に多い。

特に、初期の展示会出展で
「イメージが崩れてしまった」
「条件面が先行してしまった」
といったケースは、数えきれないほど見てきました。

展開の“順番ミス”が、ブランド価値の失速を招く。


3. “販路戦略”と“見せ方設計”はセットで考える

コスメや雑貨は、どこで売り出すかによって、求められる見せ方も変わります。

たとえば──

  • 高価格帯なら、百貨店やセレクトショップでの導入を想定して、“世界観重視”の設計を。
  • サロンやエステ向けなら、現場で伝わる説明導線やPOPがカギ。
  • SNSから火がついたネット商品なら、店舗展開前提でなくても“話題性”が強みになることも。

つまり、

「まずどこから売るか?」
「その販路に合った見せ方をどう設計するか?」

は、必ずセットで考える必要があります。


4. 「ブランドの見られ方」は“順番設計”で変わる

「販路に順番なんて関係ある?」と思われがちですが、
バイヤーは“導入済み店舗”や“展開履歴”から、
そのブランドの“育ち方”を見ています。

たとえば──

  • セレクトショップやサロンで丁寧に育ててきたブランド
  • 展示会での反響を活かして販路拡大したブランド
  • ネット発信から熱量の高いファンを育ててきたブランド

…など、“どう育ててきたかの背景”が、そのまま商談の信頼材料になるんです。

販路の順番に「絶対の正解」はない。
でも、ブランド価値を高める“順序設計”をしておくことが、結果的に商談成立率を高めてくれます。


5. 商談は“売り込み”じゃなく、“買い場づくりの提案”

もちろん人にもよるでしょうが、実際のバイヤー商談では、
「売ってください!」というアプローチはあまりしない方が良いような気がします。

例えば、こんな伝え方はおススメです。

「すでにこの商品にはファンがついていて、
その人たちの“買い場”をつくってくれるパートナーを探しています。」

バイヤーにとっても、“売れそうな商品”より“話題になっている商品”の方が、仕掛けやすいんです。


6. 注意!“1JAN1ベンダー”の落とし穴

最後にひとつ、地味だけど超重要な話を。

大手ショップでは、
「1つのJANコードにつき、納入元は1つだけ」というルールがあることが多いです。

つまり──

同じ商品を、複数の商社や代理店から紹介される

バイヤーが混乱して、「やめておこう」と判断してしまう

ということもよくあります。

ブランド立ち上げ初期だからこそ、営業ルートは一本化しておく
これは、意外と見落とされがちな「しくみ設計」のポイントです。


まとめ

販路戦略とアプローチ順は、ブランドの“見られ方”を決める重要な土台。
「商談に進めない…」という悩みの多くは、売り込み方よりも、その前の“出し方”や“仕掛け方”にヒントがあります。

そして、いざ商談の場に立ったときに問われるのは、
「このブランド、なにが強みなの?」
「なぜこのお店で扱うべきなの?」という問いにどう答えるか。

次回Vol.4では、そうした問いに“伝わる形”で答えるための、
営業資料・伝え方・話し方の設計ポイントをお届けします。
バイヤーが“納得して動く瞬間”を生む、営業設計のしくみを一緒に考えていきましょう。


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また、こうした考え方の背景にあるのが、私が提唱する
『しくみブランディング』という視点です。
中小メーカーや個人ブランドが「しくみとして育つ」ためのノウハウは、別シリーズでも発信しています。

👉 ブランド設計から実装までの連載はこちら
【しくみブランディング連載|第1回〜第6回】