【しくみブランディング連載|第5回】うまくいかない…は、しくみ不足かも?|ブランドが育たない“3つの壁”を崩すしくみ

『しくみブランディング』連載

「いろいろやってるんですけど、なかなかブランドにならなくて…」
そんな相談を受けること、実は少なくありません。

そしてこれは、特定の業種に限らず、
“しくみブランディング”をご相談いただく企業の多くに共通している、いわば、入り口のようなものだったりもします。

ブランドがうまく育たないな…と感じたとき、
「戦略が弱いから」「表現が地味だから」など、表層的な要因に目が向きがちです。

けれど、実際には――
「仕組みの不在」こそが、根本原因であることがとても多いのです。

今回は、ブランドがなかなか芽吹かないな・・、
そんなときに陥りがちな
「3つの壁」を、『しくみブランディング』の視点からあれこれと。

paint brushes next to drawing book and water color palette

SNSやブログ、LINEなどの公式発信にせよ、モニターやインフルエンサーなどからの投稿にせよ、
最初はいろいろ頑張って一気に増えても、息絶えて途中で止まってしまう。
これは、多くの現場で起きている「見えにくい壁」です。

ある化粧品ブランドでは、話題づくりのために、
けっこうな量のサンプルやキャンペーンサービスをモニターに配布し、
SNSや口コミサイトでの投稿を促していました。
一時的には露出が増え、売上にもつながりましたが、
そのキャンペーンが終わった途端、口コミ投稿もぴたりと止まり、
投稿履歴を見ると、古い投稿ってことが一目瞭然で、
「もう流行が過ぎたんだな」と見なされて、売上は急落。

“仕組みとしての継続”がないと、ブランドは一瞬で終わってしまう。
そう痛感させられる事例です。

※公式発信の場合は、もちろん持続可能な発信の仕組みが大事ですし、口コミ施策の場合は、いかに自然発生的な口コミにつなげていくか、の仕組みづくりが大事かと思います。

「このビジュアル、なんか良くない?」
「この広告コピー、ウケると思う!」

発信や販促の現場で、判断が感覚に寄っているときも、実は壁になりがちです。

とある支援先でも、SNSや広告の内容が毎回、担当者の主観に依存していて、
「どんな判断基準でOKが出てるのか?」が社内で共有されていない状態でした。

そこで「誰に・何を伝えるのか?」という軸を定め、
共通言語としての“ブランドの軸”を整備したことで、発信が格段に整理され、
「らしさ」が見えるようになってきました。

判断を個人に委ねるのではなく、“共有できる軸”を持つこと。
これがチーム全体の発信力を高めるための鍵です。

「ビジュアルは刷新したのに、なぜか響かない」
「新しいロゴを作ったのに、反応がない」

こういった相談も、本当によくあります。

問題は、“何をどう伝えるか”の設計がされていないこと。
どんなに優れたデザインや言葉でも、その背景に「意味」や「ストーリー」がなければ、
伝わりません。

ある式場運営の相談では、
もともと複数の施設を保有していたこともあり、どうしても“施設視点”での発信に偏っていました。
どの施設をどう埋めるか、どの立地にどんな特徴を出すか…という、いわば“ハコ”ベースの思考に陥っていたのです。

ですが、「どんな体験を届けられるのか?」という“サービス視点”に切り替えて、
まずはブランドとして届けたいプランや体験を先に設計し、
その実現にふさわしい施設を当てていく――という順番にしたことで、
表現の軸が定まり、発信もより伝わる形に整っていきました。

“施設ありき”から“体験設計ありき”への転換。
これも、伝える仕組みを整えることで、ブランドが動き出す一例です。

ブランドを“育てる”には、感覚や偶然ではなく、
戦略的な仕組みで支えることが大切です。

この3つの仕組みが揃って、ようやくブランドは“土台”を持ち、
育ち続ける力を持つことができるのだと思われます。

次回・第6回では、
「どう始めればいいのか?」という導入視点で、
しくみブランディングの実践ステップについてご紹介します。

【しくみブランディング連載|第6回】強みを“伝わる形”にする|設計から実装へとつなぐ“しくみ”の視点


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「ブランドが進んでいない気がする…」と感じたら、
まずは一度、現状の“仕組み”を見直してみませんか?