コスプレイヤー市場とVtuber市場を比較|ブランディング視点で見えた伸びる条件とグッズ戦略

コンテンツビジネス

実は数年ほど前、私は裏方ながらも、ちょっと面白いご縁をいただいたことがあります。
全国のコンビニで人気コスプレイヤーのブロマイドをプリント販売できる仕組みづくりを担当したのです。
そこから続いている「オタク市場」に強い会社さんとのお付き合いもあって、最近もコスプレやVtuberに関するお話をする機会が増えてきました。

先日もその社長さんと「コスプレビジネス」と「Vtuberビジネス」の話題で盛り上がり、
せっかくなので、最新データをもとに両市場を比較してみることにしました。
今回はそこに、私の専門である“ブランディング視点”と、マネタイズの柱になる「グッズ販売」の話も交えて、しくみドコロらしく、あれこれと。

提供元:KAWAII JAPAN., inc.

コスプレ市場の規模と特徴

矢野経済研究所の2023年度調査によると、
「コスプレ衣装」「メイド・コンセプトカフェ」「コスプレ関連サービス」などは依然として成長市場。
金額の具体公表はありませんが、コロナ禍を経ても拡大傾向が続いています。
イベント再開やSNSを通じた個人活動の広がりが大きな追い風になっているようです。

コスプレは、既存作品やキャラクターへのリスペクトを込めて“リアルな人物”が演じる点が特徴。
人気レイヤーになるほどインフルエンサー的な発信力を持ちます。


Vtuber市場の規模と特徴

一方で「Vtuber市場」は2023年度で約800億円。前年度比約153.8%という大きな成長を見せました。
さらに2024年度は1,050億円、2025年度には1,260億円(前年比約120%)に拡大予測。
グッズ販売が約445億円で最大の割合を占め、ライブ配信・イベントも着実に成長中です。

運営面では「にじさんじ」と「ホロライブ」という二大巨頭に加え、ソニーなど大手も参入。
アニメキャラクターのようなアバターを演者が操作し、キャラ設定に基づいて配信や交流を行うスタイルです。
コンテンツIP(知的財産)とインフルエンサー要素が融合しているのが特徴ですね。


人口規模の違い

2023年時点の登録ベースでは、

  • Vtuber:約1万5,000人
  • コスプレイヤー:約34万人

コスプレはハロウィンなど季節イベントをきっかけに、比較的気軽に始められる分、人口が多い傾向です。


ブランディング視点で見えた「伸びる条件」

数字や規模だけでなく、私が現場で見てきた経験も踏まえると、両者には「伸びる人・ブランド」に共通するポイントがあります。


コスプレイヤー編

  1. キャラ選びと世界観の一貫性
     イベントごとに変化はあっても、「この人といえばこの系統」という印象づくりが強いほどファンは定着します。
  2. オフライン接点の強さ
     イベントや撮影会など“直接会える”機会をうまく活用できる人はファン化が加速。
  3. SNSでの裏側共有
     制作過程や準備風景など“努力の見える化”が、応援したくなる理由を増やします。

Vtuber編

  1. キャラ設定と人格の融合
     中の人の個性とキャラ設定の間にブレがないことが信頼感を生みます。
  2. 継続的なコンテンツ供給
     配信頻度や更新リズムの安定は、そのままファンの定着率につながります。
  3. IPとしての展開力
     グッズ・コラボ・イベントなど“画面外”に広がる動きが、収益の柱を増やします。

グッズ販売に見る両市場の違い

コスプレイヤー市場でのグッズ販売は、大きく2つに分かれます。

  1. コスプレするためのグッズ(衣装・ウィッグ・アクセサリーなど)
  2. コスプレイヤー本人をグッズ化したもの(プロマイド・アクスタ・缶バッジなど)

ただし後者は著作権の壁が大きく、人気キャラを模した写真は許可なしで販売できないケースがほとんど。
そのため、オリジナルキャラクターや独自設定のコスプレが、ビジネスとしての自由度を高めます。

一方、Vtuber市場はコンテンツIPそのものが自社・事務所に帰属しているため、グッズ展開の自由度が高いのが強み。
アクリル系などの定番商品に加え、キャラ設定に合わせたコラボグッズや、イベント限定デザインは高い収益性を持ちます。
ファンは「推しの世界観を持ち帰れる」ことに価値を感じ、リピート購入が促されます。


ブランディング視点でのグッズ戦略

  • コスプレイヤー:オリジナル要素をブランド化し、法的リスクを回避しつつ差別化する
  • Vtuber:世界観を広げるグッズ戦略で、ファンの購買サイクルを長期化させる

まとめ

コスプレイヤーとVtuberは、一見似ているようでビジネス構造は大きく異なります。
しかし、どちらも「ファンとの関係性」を戦略的に設計できるブランドが強いのは共通。
市場の成長に流されるのではなく、ブランディングと収益モデルの両輪で“伸び続ける土台”をつくることが、長く愛される秘訣です。


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