こんにちは。ブランディングディレクターの松本カヅキです。
これまで、コスメや雑貨ブランドの店頭展開に約1,000アイテム以上携わってきました。
全国のバラエティショップやコスメ専門店で、什器・POPから販促物設計、バイヤー商談の同席まで──。
その現場で感じるのは、商品そのものの魅力だけでは“選ばれるブランド”にはなれないということです。
コスメ・雑貨メーカーにとって、バイヤー商談はまさに「登竜門」。
一方で、せっかく商談まで進んでも、
「取扱いが決まらない」「次につながらない」という悩みも少なくありません。
その原因は“商品力”だけではなく、
「どの場で展開するブランドか」を整理できているかにあります。
この記事では、商談現場での経験をもとに、
“展開の場”設計を軸にした売り場ブランディング戦略をお伝えします。

商談で大切なのは「対等に話せる準備」
多くのメーカーが「売ってください」「買ってください」という姿勢で臨みがちですが、
実はそれではブランドとしての主体性が伝わりません。
商談は、“お願い”ではなく“提案”の場。
「このブランドにはファンがついており、その方々の“買い場”を一緒に作りたい」
という対等なスタンスが重要です。
小売店も独自の店舗ブランディングを持っています。
だからこそ、店舗側の世界観を尊重しつつ、
「どんな売り場でどう見せると魅力が伝わるか」を明確にしておく必要があります。
よくある落とし穴と注意点
1JAN1ベンダーの壁
大手チェーンでは「1つのJANコードに対して1ベンダーしか登録できない」という原則があります。
複数の代理店経由で同じ商品をアプローチしてしまうと、
バイヤーが混乱し、最悪の場合はブランド自体が弾かれることも。
だからこそ、「誰(どこ)がどの販路を担当するのか」を明確に設計しておくことが不可欠です。
これもまた、“流通設計=ブランド戦略”の一部といえます。
“展開の場”がブランドを決める
商談においてバイヤーが最も重視する質問があります。
「この商品はどこに展開されていますか?」
「今後、どこで展開予定ですか?」
これは単なる販路確認ではなく、ブランドの“格付けチェック”でもあります。
例えば──
| 展開の場 | 役割 | 印象・効果 |
|---|---|---|
| リーディング百貨店・ハイエンドセレクトショップ | 世界観や信頼性の証明 | 「上質」・「本物」イメージ |
| 美容サロン・エステ | プロ使用・信頼感 | 「専門性」「効果実証」 |
| バラエティショップ・コスメ専門店 | 認知拡大・購買動線 | 「手に取りやすい」「話題性」 |
展開の“順序”を設計することで、ブランドの印象は大きく変わります。
先に「見せる場(百貨店など)」で世界観をつくり、
後に「広げる場(バラエティショップ)」で流通を拡張する──
例えば、新シリーズを展開しながらこのような設計ができていて、売上が安定しているブランドもあります。
👉 関連: [中小企業のブランディング戦略|整理から実践へ“仕組みを設計する5ステップ”]
実例|“場がブランドを育てる”
私が商品パッケージからバイヤー商談まで関わった、フィンランド発の輸入ブランドでは、
「キシリトール100%のガム」を“美容アイテム”として展開しました。
お菓子売場ではなく、コスメショップの「オーラルケア」コーナーに置くことで、
「美容習慣の一部」として認知を確立しました。
結果、女性誌にも掲載され、サロン・フィットネス業界にも波及。
“どこに置かれたか”がブランド価値を引き上げた好例です。
ブランディングは「場の設計」からはじまる
展開の場は、単なる販路ではなく、ブランドの“履歴書”です。
自社の商品を、どの場でどう見せるか。
その積み重ねこそが、消費者の「信頼」として蓄積されます。
中小企業は、資本ではなく“場の設計力”で勝負できます。
そのためにも、
- 自社の強みを一番伝えられる「場」はどこか
- その場が積み重なったとき、どんなブランド像になるか
を「整理」することが、ブランディング実践の第一歩です。
👉 関連: [中小企業のブランディング実践|“儲けにつながる流れ”をつくる仕組み]
まとめ|“売り場戦略”をブランディングに変える
バイヤー商談で成果を出すには、
単なるプレゼンや価格交渉ではなく、“場を設計する発想”が必要です。
展開の「場」を設計することは、ブランドを設計すること。
売り場は、ブランドのメッセージそのものです。
“売れる設計”を“続く仕組み”に変える。
それが、しくみブランディング®の考え方です。
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しくみブランディング®|松本カヅキ
― ブランディングは、整理で仕組みになる。 ―
