こんにちは。
ブランディングディレクターの松本カヅキです。
中小企業の経営者の方とお話ししていると、
次のような“悩み”を頻繁に耳にします。
・戦略がまとまらない
・発信が毎回ブレる
・施策が積み上がらない
一見すると、売上が低迷している企業の悩みに見えるかもしれません。
しかし実際は、むしろ、
“業績が順調な会社ほど、
この悩みを抱えやすい”のが特徴です。
新商品、新規事業、SNS、LP、広告、採用──
やるべきことが増えれば増えるほど、判断軸が揺れやすくなる。
そして、これら3つの悩みには必ず共通する“根本理由”があります。
何を基準に判断すればいいのかが定まっていない。
多くの企業は“判断に迷うこと”を弱点だと思っていますが、実はそれは弱点ではなく、構造の問題です。
判断基準がないまま施策を重ねると、
・どれを優先すべきか
・何をやめるべきか
・何がブランドの“芯”なのか
が毎回ゼロから議論になり、戦略がブレ続けます。
これは、社長の意思が弱いからでも、担当者のスキルの問題でもありません。
企業の構造が、“判断軸が生まれにくい形”になっているだけです。
この記事では、
私が200社以上の中小企業と向き合う中でわかった
「ブランディング戦略がブレる“3つの構造的理由”」
を整理し、そのうえで、戦略が“通る組織”に整えるための視点をお伝えします。

1. 「強み」が曖昧になりやすい構造
中小企業の多くは事業の幅が広がるほど、
本来の“強み”がぼやけていく構造を持っています。
・追加で商品を増やす
・新たなサービスを取り入れる
・顧客の要望に応えて領域を広げる
これ自体は悪いことではありませんが、
その積み重ねによって「何が本当に価値なのか」が見えにくくなる。
結果、
・方向性が語れない
・言語化できない
・発信が定まらない
という現象が起きます。
強みの曖昧さは、戦略がブレる最初の構造的理由です。
2. 「価値の伝わり方」がバラつく構造(接点の増加)
SNS、LP、広告、展示会、営業資料──
接点が増えれば増えるほど、
価値の伝わり方は人によって・媒体によってバラつきやすくなる構造を持っています。
どれも重要な接点ではあるのですが、
・何を軸に語るか
・どうストーリーをつなぐか
・どの順序で価値を伝えるか
これらが揃っていないと、ブランドとして“ひとつの流れ”になりません。
構造として、
バラつきが起きやすいこと自体を理解していないと、「担当者の力量の問題だ」と誤解してしまいます。
本当は、
流れとしてつなぐ“構造”が必要なだけです。
3. 「判断基準」が生まれにくい構造(整っていない状態)
戦略がブレる企業に共通する3つ目の構造は、
判断基準を生み出す“整理フェーズ”が存在しないこと。
整理されていない状態では、
・商品開発
・発信
・価格設定
・広告
がすべて“点”で存在してしまい、どこを優先すべきか判断できません。
判断基準がないという構造は、
戦略が動かない最大の原因です。
逆に言えば、
“何に集中し、何をあえてやらないか”を整理できた瞬間、戦略は軸を持って動き始めます。
戦略がブレるのは「性格」や「センス」の問題ではない
ここまで整理するとわかるように、
戦略がブレる理由は 社長の意思の弱さでも、スタッフのスキル不足でもない ということです。
強みが曖昧になりやすい構造
価値の伝わり方がバラつきやすい構造
判断基準が生まれにくい構造
この“構造的な3つの理由”が揃えば、
どれだけ真面目に取り組んでも戦略は揺れ続けます。
逆に言えば、
構造を整えれば、戦略は自然とブレにくくなります。
解決の方向性:整理 → 戦略 → 実践の“流れ”で整える
ブランディングは、一つの施策では動きません。
順番があります。
整理(強みの再定義)
→ 戦略(集中と選択を決める)
→ 実践(価値が届く導線を設計する)
この流れがつながると、
判断基準が生まれ、戦略は自然と揺れなくなります。
この3つを体系的にまとめたのが、以下の記事で紹介している
「ブランディング戦略の5ステップ」です。
👉 中小企業のブランディング戦略|成果を生む“流れ”の5ステップ
戦略が毎回ゼロベースになりがちな企業は、ぜひ一度読んでみてください。
まとめ|戦略がブレるのは“構造”が原因
戦略がブレるのは、
熱意でもセンスでもなく、構造の問題です。
製造業、サービス業、小売業──
どの業界でも同じ構造が存在します。
強みが曖昧になる構造
価値の伝わり方がバラつく構造
判断基準が生まれにくい構造
これらを理解したうえで、
整理 → 戦略 → 実践 の流れを整えること。
これが、
“順調に売れている企業ほど抱えやすい戦略迷子”から抜け出す唯一の方法です。
💡「どこから手を付ければいいか」が曖昧なほど、戦略は整えやすくなります。
御社の状況を伺いながら、流れの設計ポイントを一緒に整理します。
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補足|しくみブランディング®とは
『しくみブランディング®』は、
理念やデザインよりも前に「整理」から始め、
“意味と価値の流れ”をつくり、
外部パートナーと共創しながら成果を習慣化するアプローチです。
整理 → 戦略 → 実践 → 共創 → 習慣化
という構造で、中小企業の現場にフィットする仕組みを設計します。
しくみブランディング®|松本カヅキ
― ブランディングは、整理で仕組みになる。 ―
