こんにちは。
ブランディングディレクター|事業構造パートナーの松本カヅキです。
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自社の商品を、これから実店舗にも広げていきたい。
そんなとき、展示会への出展を考えるメーカーやブランドも多いと思います。
展示会では、普段なかなか接点を持てない小売店や問屋、代理店などと直接話せることがあります。
商品を実際に見てもらい、その場で反応を聞ける。
自分たちが想定していなかった販路との接点が生まれることもあります。
私自身、これまでブランドメーカー側の立場で、コスメ約500アイテム、雑貨約600アイテムの商品展開・店頭導入に携わってきました。
その中で感じてきたのは、展示会を考えるとき、
「出るか、出ないか」
だけではなく、
この商品を、これからどんなふうに広げたいのか。
を先に少し描いておいた方が、その後の出会いを活かしやすいということです。
この記事では、メーカーやブランドが展示会で販路開拓を考えるときに、出展前から整理しておきたいことをご紹介します。
展示会は、新しい販路と出会える場所
展示会へ出る意味の一つは、それまで接点のなかった相手と出会えることです。
小売店の担当者やバイヤー。
問屋や代理店。
自社だけで営業していると、なかなか話す機会のなかった人に、商品を見てもらえることがあります。
とくに、実物を見てもらうことに意味がある商品では、展示会ならではの良さもあります。
たとえば、コスメであれば、香りや質感。
雑貨であれば、サイズや素材、手触り、使い方。
写真や商品資料だけでは伝わりにくい部分を、その場で確かめてもらえます。
また、こちらが想定していなかった質問を受けることもあります。
「こういう売場にも合いそうですね」
「この条件なら、うちの取引先にも提案できそうです」
そんな会話から、これまで考えていなかった展開先が見えてくることもあります。
名刺をたくさん集めれば販路が広がる、という単純な話ではありません。
ただ、新しい相手と実際に話しながら、自社商品の広がり方を探れる。
展示会には、そんな役割があります。
展示会へ出る前に、商品の「展開ストーリー」を考えておく
展示会へ出る前に、その商品の「展開ストーリー」を一度考えておくと、その後の判断がしやすくなります。
ここでいう展開ストーリーは、何年先まで細かく決めた営業計画ではありません。
誰に届けたいのか。
どのような売場で、どのように見てもらいたいのか。
最初の導入先から、その次にどこへ広げたいのか。
ECやSNSですでに販売しているのであれば、それまで育ってきたものを実店舗へどうつなげたいのか。
そのくらいの大まかな流れです。
たとえば、ECやSNSで少しずつ認知が育ってきた商品なら、
「次は、実際に商品を手に取ったり、試したりできる売場へ広げたい」
という方向があるかもしれません。
そうなると、展示会で探したい相手も見えやすくなります。
小売店と直接接点をつくりたいのか。
どんな販路に強い問屋と話したいのか。
営業や物流を担ってくれるパートナーを探したいのか。
展示会を単独のイベントとして考えるのではなく、商品展開全体の中に置いてみる。
そうすると、「とにかく取扱先を増やす」とは少し違う使い方ができるようになります。
商品を小売店へ卸し、実店舗で販売していくまでの全体の流れについては、こちらの記事で整理しています。
👉[商品を店舗で販売するには?|小売店への卸・店頭展開の5ステップ]
「誰と出会いたいか」で、展示会の選び方も変わる
展示会を探していると、来場者数や規模、知名度などが気になると思います。
もちろん、それらも判断材料になります。
ただ、自社商品の販路開拓という視点では、その展示会にどのような人が来るのかも見ておきたいところです。
小売店との直接取引を増やしたい。
複数の小売店への営業ルートを持つ問屋と出会いたい。
特定の業界に強い代理店と接点を持ちたい。
目的が違えば、向いている展示会も変わります。
展示会当日にすべてを決める必要はありません。
むしろ、そこで何を確認し、その後どんな話をするのかまでを想定しておく方が実務では動きやすいと思います。
展示会では、価格をどう見せるかも考えておく
展示会では、商品の価格や取引条件について聞かれることがあります。
ここも、出展前に考えておきたいところです。
展示会用の参考価格を用意しておき、正式な見積もりは、その後の面談で発注数量や物流、販路などを確認してから出すという方法もあります。
商品や展示会の目的によっては、その場では卸価格を出さず、
「具体的な条件を確認したうえで、改めてお見積もりします」
としてもよいでしょう。
避けたいのは、取引内容を見ないまま、小売店にも問屋にも同じ価格を一律に提示してしまうことです。
小売店へ直接納品する場合と、問屋を介してその先の小売店へ届ける場合では、相手に担ってもらう役割が違います。
ただ、
「小売店だからこの価格」
「問屋だからこの価格」
と、業種だけで機械的に決めればよいわけでもありません。
問屋から少量の発注になる場合もあります。
反対に、小売店からまとまった数量の相談を受けることもあります。
発注数量。
物流方法。
返品などの取引条件。
営業をどこまで担ってもらうのか。
その先にどのような展開を想定しているのか。
そうした内容を見ながら、価格や条件を考えることになります。
展示会では、最終条件をその場ですべて決めるより、次の商談で何を確認して条件を決めるのかを用意しておく。
その方が、その後の展開に合わせて考えやすくなります。
卸価格や掛率、それぞれが担う役割については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
👉[卸価格の相場ってどう決まる?|ブランド力で変わる“価値の分け方”]
展示会後にすぐ動けるよう、分類の仕方を先に決めておく
展示会では、短い期間に多くの人と話すことがあります。
会期が終わってから名刺を見返し、
「この会社は、どういう話だったかな」
「どこから連絡すればいいだろう」
と一件ずつ考え始めると、その後の動きが遅くなります。
そのため私は、出会った相手をどう分類するかを、展示会前にある程度決めておくことも大切だと思っています。
たとえば、
相手は小売店なのか、問屋なのか、代理店なのか。
どの売場や販路につながる相手で、発注数量や取引条件はどのくらいになりそうなのか。
そして次に、面談するのか、見積もりを出すのか、資料を送るのか。今すぐではなく、今後の候補としてつながっておく相手なのか。
こうした分類です。
ただし、ここでも業種だけで振り分けない方がよいでしょう。同じ問屋でも小売店でも、扱う販路や発注量、取引の形は違います。
自社が何を基準に次の対応を決めるか。
そこを先に決めておくことが重要です。
会期中に取るメモも、その分類に合わせておけば、展示会が終わったあと、すぐに次の対応へ移れます。
展示会は数日で終わります。
でも、販路開拓は、そのあとから続いていきます。
だからこそ、展示会当日のことだけではなく、終わった翌日からどう動くかまで準備しておきたいところです。
展示会後の面談から、バイヤーとの商談へ進むときの考え方や準備については、こちらの記事で紹介しています。
👉[大手バラエティショップなどのコスメ・雑貨バイヤー商談について。]
「とりあえず出展」ではなく、その先の展開へつなげる
商品展開の相談を受けていると、こんな流れを見ることがあります。
商品が完成間近になった。
発売もできそう。
けれど、まだ売り先の目途があまり立っていない。
そこで、
「まずはいろいろな展示会に出て、売ってくれるところを探そう」
と考える。
展示会へ出れば、出展費用もかかります。
準備にも時間を使います。
何日間か出展すれば、人の労力もかかります。
そうすると、
「せっかく出たのだから、何か成果を持ち帰りたい」
という気持ちも出てきます。
商品企画も、販促も、
「こんな売場で展開したい」と、一生懸命イメージしてきた。
それでも展示会で、
「この価格なら扱えます」
「この販路なら売れます」
という話をもらう。
当初考えていた条件や売場とは少し違う。
それでも、せっかくの話だからと受けていく。
そうして、売りたい場所ではなく、“売ってくれる場所”に販路が決まっていくことがあります。
展示会が悪いわけではありません。
むしろ、多くの相手と出会えるからこそ起こりやすいことでもあります。
これは、自社サイトやSNSで、
「取扱店募集中」
「販売店・代理店を募集しています」
と広く案内したり、プレスリリースなどを通して新しい取引先との接点をつくったりするときも似ています。
間口を広げれば、それまで知らなかった相手と出会える可能性があります。
一方で、どのような話なら進めるのか、どんな条件なら一度立ち止まるのかが曖昧なままだと、来た話を順番に受けることになりやすい。
だから、すべてを最初から固定するというより、自分たちはどんな展開をつくっていきたいのか、その大まかな方向を持ったうえで、展示会で生まれた話を見ていく。
*
外から得た反応によって、次の展開が見えてくることもあります。
そのうえで、展示会でできた接点が面談や商談へつながり、一つの売場で商品が扱われるようになる。
そこで実績ができれば、それが次の小売店との商談材料になることもあります。
私は、こうした展開先の積み重なりを「ブランドの履歴書」と捉えています。
展示会で名刺交換をしたこと自体が履歴になるわけではありません。
その出会いから、どこで商品が扱われ、どのような顧客と出会ってきたのか。
その一つひとつが、少しずつ「ブランドの履歴書」に加わっていきます。
そして売場が増えれば、商品と顧客が実際に出会える場所も増えていきます。
SNSやECで気になっていた商品を、実際に手に取れる。その売場で初めて商品を知る人もいる。
展示会で生まれた一つの接点が商談につながり、新しい売場ができることで、商品の「買い場」もまた一つ広がっていきます。
まとめ|展示会を、商品展開の一つの接点として使う
展示会は、新しい販路と出会える場所です。
商品を実際に見てもらい、反応を聞き、それまで考えていなかった展開の可能性に気づくこともあります。
その機会を活かすために、出展前には商品の展開ストーリーを大まかに描き、価格の見せ方や、展示会後の分類と対応まで考えておく。
そして、会場で出会った相手との話を見ながら、その後の商談や販路へつないでいく。
最初からすべてを決めておく必要はありません。
展示会で得た反応を受けて、展開の方向を考え直すこともあります。
ただ、何も決めないまま売り先を探すのではなく、自社なりの方向を持って展示会を使う。
そうすると、展示会は単発のイベントではなく、これからの商品展開をつくっていく一つの接点になります。
展示会から、その先の商品展開まで整理したい方へ
展示会への出展を考えているけれど、その先にどのような販路へつなげるかまで整理しておきたい。
自社の商品なら、どの売場から、どの順番で広げていくとよいのか。
商品展開・店頭導入サポートでは、商品の価値、価格、売場、販路、営業ルート、商談、導入後の販促までを一つの流れとして確認しながら、これからの商品展開を一緒に整理しています。

ブランディングディレクター|事業構造パートナー
松本カヅキ
