卸価格の相場ってどう決まる?|ブランド力で変わる“価値の分け方”

ブランディング全般

「卸価格の相場って、どれくらいが普通ですか?」
新しく商品を立ち上げる企業や、取引を始めたばかりのメーカーから、よく聞かれる質問です。

確かに「相場」はあります。
けれども実際のところ──
その相場を決めているのは原価でも競合でもなく、ブランドが担う“価値の分け方です。

a table topped with lots of bottles of liquid

掛率と値入率の基本を、かんたんに整理

まずは、卸取引でよく出てくる2つの言葉をおさらいしておきましょう。

  • 掛率(かけりつ):上代(販売価格)に対して、仕入価格がどのくらいかを示す割合。
    例:上代1,000円で掛率60%なら、仕入価格は600円。
  • 値入率(ねいれりつ):販売価格に対して、どれだけ利益が残るかを示す割合。
    例:上代1,000円で仕入700円なら、値入率は30%。

メーカー側から見ると「掛率」、小売側から見ると「値入率」
立場は違っても、どちらも“100の中で、自分がどれだけの価値を担っているか”を表しています。


「お客さまが払う100の中で、どこに価値があるか」

ここでいう“100”とは、上代(定価)だけでなく、お客さまが払う金額の全体のこと。
その100の中で、どこにどんな価値があるのかを見てみると、価格の裏にある“ブランドの構造”が見えてきます。

つくる力商品やサービスそのもの開発力・企画力・品質
伝える力魅力を伝えて選ばれる力デザイン・SNS・接客・販促
届ける力体験や仕組みで信頼をつくる力配送・サポート・店舗体験

ブランド力のある企業ほど、「つくる力」の部分が高く評価され、高い掛率(仕入価格)を設定しやすくなります。
一方で、小売や販売側の発信力が強いブランドでは「伝える力」や「届ける力」に価値が置かれ、販売側の取り分が大きくなる──

この“バランスの設計”こそがブランドの実力です。

「相場の裏には、価値の分担」がある

一般的な相場は、実はこの「価値の分け方」の結果として成り立っています。
メーカー・卸・小売がそれぞれどんな役割を担っているかによって、同じ商品でも掛率は大きく変わります。

※上記は全国の有名バラエティショップ・セレクトショップなど、実際の取引傾向をもとにしたおおよその目安です。
ブランドや販路、返品条件、販売員派遣の有無によって数値は前後しますが、「価値をどこで生み、伝え、届けるか」の整理に活用できます。

👉 まずは“整理”の視点から、自社やサービスの価値の流れを整えたい方はこちら:
[整理から“成果が出る仕組み”をつくる方法|中小企業の実践ブランディング戦略]


ブランディングとは、“見せ方”ではなく“分け方”の設計

「うちはデザインも発信も頑張っているのに、なかなか利益が出ない…」
そんなときは、“どこに価値を置いているか”が整理されていないケースが多いです。

ブランディングとは、ロゴや広告の話だけではなく、
「どこに力を入れ、どこをパートナーと組むか」まで設計する“進め方”ともいえます。

値下げしなくても売れるブランドとは、
価格を守っているのではなく、価値の伝わり方が整理されているブランド
です。

整理されたブランドほど、交渉や判断の軸がブレません。
それは「見せ方」ではなく、「仕組みの整え方」ができているからです。


掛率交渉は「価値の整理」のチャンス

価格交渉の場は、単なる取引条件の話ではありません。
むしろ「自社がどの価値を担っているのか」を言語化する、貴重な機会です。

  • 商品づくりに力を入れているなら、その魅せ方を整理する
  • 発信や販促が得意なら、価値の伝え方を整える
  • リピートや体験価値を重視するなら、届け方を仕組みにする

価格とは、数字の問題ではなく“価値の伝わり方”の問題
この整理ができていれば、掛率交渉は恐れずに戦略的に進められます。


価格は「結果」ではなく「設計」

価格は、ブランドがどの部分で価値を担っているかを映す鏡です。
もし価格交渉で苦戦しているなら、それは価格の問題ではなく、価値の整理ができていないサインかもしれません。

「お客さまが払う100」の中で、自社の役割を明確にし、そこに集中できる構造をつくる。
それが、利益につながる“しくみブランディング®”の第一歩です。

👉 整理した価値を“戦略”として設計する流れはこちら
[中小企業のブランディング戦略|整理から実践へつなげる設計法]

👉 利益を生む“しくみブランディング®”の全体像はこちら:
[中小企業のブランディング実践|“儲けにつながる流れ”をつくる仕組み]


「誰に頼むか」より、「どう整理して進めるか」

ブランドを整えたいとき、「どの制作会社に頼むか」「どんな広告を出すか」から考え始めてしまいがちです。
けれども本当に大切なのは、自社の価値をどう整理して、どう動かすかという“進め方”の部分です。

外部のパートナーを活かすにも、その整理ができているかどうかで成果は大きく変わります。

👉 関連:
[中小企業のブランディング外注|“まとめて動かす進め方”と失敗しない整理術]


まとめ|ブランディングは“価値の分け方”から整う

卸価格は、ただの数字ではなく、
ブランドがどう価値をつくり、伝え、届けているかを映す設計図
です。

“つくる・伝える・届ける”が整理されたブランドは、
価格の判断も、関わる人との動き方も、自然と整っていきます。

ブランディングを成果につなげる第一歩は、価値の伝わり方を整理することから始まります。


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