うまくいっているのに、どこか晴れない。
次の一手が見えない。
何をもって順調と言えるのかが分からない。
どの施策も正しく見えて、削れない。
こうした違和感、覚えがありませんか。
別々の悩みのように見えて、
実はその奥で起きていることはかなり似ています。
経営に現れる「霧」は、それぞれ違う形で現れながらも、
共通した構造から生まれています。
では、なぜ霧は生まれるのでしょうか。
うまくいっているのに、なぜ視界がぼやけるのか
霧が出るのは、うまくいっていないときとは限りません。
むしろ、売上が伸び、事業が前に進み、
ここまで積み重ねてきたからこそ、
経営の視界が少し見えにくくなることがあります。
正しそうな施策もある。
成功事例もある。
参考になる情報も、以前よりずっと多い。
それでも、どれを選ぶべきかが見えにくくなる。
そのとき見えにくくなっているのは、
答えそのものではなく、
何を基準に選ぶのかという前提です。
以前は、言葉にしなくても回っていた
たとえば、
まだ事業の規模が今ほど大きくなかった頃を思い出してみてください。
何を優先するか。
どう動くか。
そんなことを、わざわざ細かく言葉にしなくても回っていた。
まずは目の前のお客さんに応える。
商品やサービスを形にする。
売る、整える、続ける。
そのやり方が、その時期には合っていた。
だからこそ、ここまで来られた。
ただ、人が増え、事業が広がり、
フェーズが変わると、
同じ前提のままでは捉えきれないものが増えてきます。
事業が広がると、判断の前提が追いつかなくなる
事業が広がり、関わる人や選択肢が増えてくると、
こんなことが起きはじめます。
「どのSNSをやればいいか分からない」
「AIツールも導入した方がいいと言われるけれど、自分たちに必要か判断できない」
「新しい施策を提案されるたびに、断る理由が見つからない」
マーケティングの手法も、使えるツールも、
AIも含めて、選択肢は以前とは比べものにならないほど増えています。
情報も多い。
事例も多い。
それなのに、かえって決めにくくなっている。
ここで起きているのは、
判断の前提が今の事業の広がりに追いつかなくなっている状態です。
何を基準に選ぶのか。
何をやらないのか。
何をもって順調とするのか。
これから何を残していきたいのか。
そうした前提が言葉にならないまま、
選択肢だけが増えていく。
そのとき、霧は生まれます。
3つの霧は、別々の悩みではない
経営の霧には、いくつかの現れ方があります。
ある事業では、次の一手が見えなくなる。
ある事業では、何をもって順調と言えるのかが分からなくなる。
またある事業では、どの施策も正しく見えて削れなくなる。
表に出る症状は違います。
けれど、その奥にあるのは同じ構造です。
・事業が広がったのに、意味で束ね直せていない
・外の評価はあるのに、自分たちのモノサシで見返しにくい
・選択肢は増えたのに、何を基準に決めるのかが言葉になっていない
3つの霧は、
前提が今のフェーズに追いついていないときの、
異なる現れ方です。
3つの霧の現れ方そのものを先に整理したい方は、
こちらの記事で見取り図としてまとめています。
👉 経営の違和感は3つの現れ方がある|「霧」という状態の整理
答えが増えても、決めやすくなるとは限らない
霧の中にいるとき、
つい新しい答えを探したくなります。
もっと良い戦略があるのではないか。
もっと合う施策があるのではないか。
他社の成功事例の中に、答えがあるのではないか。
ただ、前提が見えにくいまま答えを増やしても、
必要な判断がしやすくなるとは限りません。
正しそうな案が増えるほど、
かえって削りにくくなることもあります。
どれを選ぶか。
どれを捨てるか。
何を続けるか。
それを決めるのは、情報量ではなく、
自分たちが何を基準に判断するのかという前提です。
必要なのは、答えより前提の整理
霧が出ているときに必要なのは、
答え探しを急ぐことではなく、
前提を整理し直すことです。
何を基準にここまで選んできたのか。
これから何を基準に選んでいくのか。
何を残したいのか。
何をもって順調と見るのか。
そうした前提が見えてくると、
必要な答えも、
見直すべき順番も、
少しずつ定まりやすくなっていきます。
霧は、成長に対して前提の更新が追いつかなくなったときに生まれます。
だから必要なのは、
答えを増やすことより先に、
前提を整理し直すことです。
この「霧」が、なぜブランディングが必要になる一歩手前で現れるのか。
その位置づけをもう少し整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
👉 中小企業のブランディングとは|判断の基準がぼやけはじめたときの整理と思考
── 松本カヅキ
ブランディングディレクター|事業構造パートナー
